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コンピュータ任せによる設計だけでは、釣り人にとって楽しい「へら竿」作りはできないでしょう。そこには科学では計り知れない要素が「へら竿」には多くあるからです。
たとえば合わせた瞬間の止まり方、振ったときのしっとり感、針がかりの場所を感じてとれる伝達性…。
こうした味付けは、長年培った人間の経験と熟練がモノを言う領域であり、「へら竿」本来の醍醐味もここにありましょう。
単に魚釣りの道具で終わらない竿作り、この哲学が征興ロッドの一竿一竿に脈々と流れています。
その為には、作り手の都合で製造の簡単な太い竿にしない、通常四本で継ぐ尺数の竿でも、あえて三本継仕様にする。
スペックを重視してただ軽い製品にせず、風に負けない、人の感覚になじむ重さに調整する等、釣り人に向けた工夫を重ねています。
素材の進化により、「へら竿」は飛躍的にその性能を高めてきました。
軽くて使いやすく、魚に遊ばれないというキャッチフレーズのもと様々な新製品が登場しています。
しかし、そのため竿の使い方が向上しているとはいいにくい面もあります。竿づかいの技術向上にたけていれば、高性能な竿は一段とその力を発揮してくれるでしょう。
「魚に遊ばれない」ではなく、「魚と上手に遊べる」。
ここまで一歩踏み込んで、へら鮒釣りを楽しみたいものです。 |
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